気まぐれ日記 2012年7月

2012年6月はここ

7月1日(日)「雑務の山崩し・・・の風さん」
 先月末までの大きなヤマを乗り切った感覚があるので、今日は、たまっている雑事を可能な限りこなそうと思った。
 先ず、普通に起床した。
 新潮選書に収録する写真の中に、アメリカ人が所有していると思われるものがあり、メールアドレスを教えてもらったので、使用許可をお願いするメールを送った。老境に入っているせいか、英語の完璧さにこだわらなくなってしまった。稚拙でも通じればいい、そう思うようになっているので、さっと書いて送ってしまった。
 あいにく小雨がぱらついているが、今日行かないと当分週末に買い物に行けないような気がしたので、覚悟を決めて出かけた。
 最初は、眼鏡屋に寄り、レンズが脱落した遠近両用メガネを直してもらった。サービスだという。こういう場合得した気分より申し訳ない気分がするのは、日本人だからか、それとも人間が古いせいだろう。
 続いて、家具屋へ向かった。書斎の模様替えをして書棚を4本増やすのである。
 目当てのディスカウントショップでは、想定したサイズの書棚が2本しかなかった。
 大きかったので、小雨の中、店員にワイフのウィッシュまで積み込んでもらった。
 残りはDIYの店で補充することにした。色々なサイズの組み合わせで、予定した空間が埋まるように工夫したが、その組み合わせの計算にやたら時間がかかった。
 品物はすべて自分で運んだが、重かった。
 帰宅して梱包された書棚類を運び込んだら、すっかり疲れてしまった。
 ひと休みしてから、新潮選書の再校ゲラの懸案事項つぶしに取り掛かった。
 これがけっこうな量あって、夜までかかった。
 メールで送って、やっと解放された気分になった。

7月2日(月)「企業人の1日・・・の風さん」
 今日はミッシェルで製作所へ出社する日だ。
 自宅の車庫に入ろうとしたら、入り口に小さなカニの死骸があった。
 池や川がなくてもカエルのいる土地である。沢蟹みたいなやつがいてもおかしくないか……。
 製作所にはそれほど遅くない時刻に着いたのに、もう駐車場がいっぱいだった。
 仕方なく、別の建物の駐車場まで迂回して停めた。
 会社のロゴが入った白いポロシャツを着て会議室に入って行ったが、誰からも指摘がない。このポロシャツはすけすけで、裾はズボンの外に出すタイプなので、普通のクールビズ以上に涼しいから気に入っている。
 会社を話題にした古本が家に届いたので、研修所へ持って行って周囲の人たちに見せた。「書いてあることはどれだけ事実なの?」私の質問に続々と真実が明らかにされて、あきれるばかり。書いた人間が悪いのではない。書かれた内容が会社の恥で、それを指摘できずに出版をはじめとする様々なことを許した人たちが悪いのだ。本当に情けない。
 研修所で会議を一つこなし、続けて月初めなので、月度報告と計画立案に時間をかけた。

7月3日(火)「最後の晴れ舞台?・・・の風さん」
 昨夜帰宅して、夕食後ぶっ倒れた。日曜日の疲労がまだとれていなかったのだ。
 今朝の4時に書斎の床の上で目が覚めて、それから活動を開始した。
 まるで生態の違う生き物みたいだ。
 最近は会社の仕事が忙しい。
 午前中、一橋大学の米倉先生に来社してもらうため、社内トップとスケジュール調整をした。VIPを迎えるためにはけっこう気配りが必要である。最終的に確定するにはまだ時間がかかるだろう。
 今日もカロリーメイトの昼食で済ませ、夕方、旧職場へ移動し、上司と打ち合わせをした。私にとって最後の晴れ舞台になるかもしれない講演依頼に対する許可をもらったのだ。本当に定年後のことも決めねばならないことが多い(なんのこっちゃ?)。
 雨が強く降る中、スーパーでコーヒーを買って帰宅した。
 
7月4日(水)「会社でも仕事し過ぎ・・・の風さん」
 今朝は午前1時半にリビングのフローリングの上で目が覚めた。
 やらねばならないことが多いが、出社前に少しはまた睡眠がとれるだろうか。
 結局、そのまま出社することになった。これじゃあ、ほぼ徹夜である。
 しかし、体力的に限界だった。
 会社に着いてすぐロビーのソファで仮眠した。
 午前中は会議。昼はカロリーメイト。
 昼休みに研修所にやってきた試乗車を運転することができた。
 HVでGMのボルト、EVで三菱自動車のアイミーブの2台である。
 ツインカムエンジンでゴーカートのような走りをする車でないと面白くない人なので(私は)、ボルトもアイミーブもどうでもいいのだが、ま、話のタネに乗ってみることにした。
 ボルトはジャマイカのボルトではない……冗談はともかく、なかなかしっかりした作りの車のようだった。私にとっては3年ぶりの左ハンドルで、緊張感が心地よかった。右折時にワイパーが動き出したのは、ドイツでも経験したことだ(笑)。
 アイミーブは遊園地の車のようだったが、ちゃんとエアコンも効いていて、まともな車のようでもあった。
 とはいえ、音がしない車は面白くない。
 午後は自席で仕事に集中していたのだが、何度かケータイに電話が入った。
 ワイフのアクアは来週受け取ることになった。7年ぶりの新車である。
 明後日の朝一番の会議が急に決まり、資料が必要になった。明日はここにいないので、速効で作成しておいた。簡単な仕事は手際がよい(当然か)。

7月5日(木)「これも会社員の日常風景・・・の風さん」
 5時半起床(@書斎)。寝不足だが贅沢は言えない。中途半端な早起きで、出社前の仕事もわずかしかできなかった。
 電車で旧職場へ出社。私が室長だったときに正社員登用された(その後職場結婚もした)若者に廊下でバッタリ会ったので、近況を聞いたら、5月に子供が生まれて、家も新築したとのこと。かつてハスラーを目指して頑張っていた男が、一つのきっかけで大きく人生が変わった。今の彼にとって35年のローンなど、張り合いでこそあれ、負担であるはずがない。2世のために「がんばれ!」。
 旧職場なので、昼はちゃんと食べた。冷やし天ぷらそば。麺がふやけていた。
 午後は有休。バスと電車で本山キャンパスへ出勤し、久しぶりに講義をした。
 講義後は講師控え室でたまった雑務に取り組んだ。大学のパンフにあることを発見したので、会社の同僚に届けねば。
 夜は名古屋で職場の仲間と3ヶ月遅れの送別会。公私混同がモットーの私なので、少人数で上下関係抜きの飲み会(実際はほとんど食事会)は楽しい。
 終電より1本前の電車で家路についたが、次女が終電だったので、それなら私も終電にすればよかったと思った。
 
7月6日(金)「老いを感じるとき・・・の風さん」
 7時前起床(@寝室)。久しぶりにベッドで寝たので、まともな人間に戻った気がした。しかし、よく考えてみると、追い詰められている感覚がすぐよみがえる。
 研修所へ出社して、まもなく会議が始まった。出席者がそれぞれ用意してきた資料で発表していくスタイルだった。なかなか皆さん力が入っている。重要な会議だったのだ。私は、一昨日、突貫工事で作った資料で説明したが、一風変わった内容だったので、とりあえず面目を保った。
 カロリーメイトの昼食後、のろのろと仕事をしてから本社へ出張した。
 最後に開催中の「未来のクルマ展」のようなものを見学したが、いつものように頭が混乱した。ITを駆使した車社会を想定した将来技術の展示なのだが、二つの疑問が常に浮かぶのだ。@これって嬉しいの? A未来じゃなくもうすぐできる技術じゃない?
 特にスマホとの連携技術には違和感をおぼえた。私自身がスマホの便利さを実感していないことと、10年後にスマホって今のままで存在している気がしないからだ。
 理解を示さない私に苛立つ若い説明者もいて、何とも、やりきれない思いがした。
 こういう場合は、「やっぱり自分は老人になっていて、間違いなく頭もボケている」というのがあらゆるデータを総合した結論となる。
 帰りに中古車屋に寄って、ワイフの新車に取り付けるオプションの取り付け位置などを打ち合わせた。いよいよ納車まで1週間を切った。
 帰省予定の長女のため、土砂降りの中、コンビニで大好物のアイスクリームを買って帰宅した。
 
7月7日(土)「大阪講演の目的は完遂・・・の風さん」
 午前1時半にリビングで目を覚ました。
 今日は大阪で講演なので、その準備をしなければならない。
 事務局とのやりとりはすべて終了していて、あとは自分の講演準備だけだ。
 とはいえ、先ずは新幹線の切符を確保……と思ったら、エクスプレス予約のサーバーがメンテナンス中で、予約できなかった。
 今回の講演の最大の目的は、「大阪の人たちに、大阪の人たちにもあまり知られていない、間重富のすごさを知ってもらうこと」である。ネタはだいたい揃っているのだが、もう一人の講演者である大阪市立科学館の嘉数さんとのミニトークの時間も稼ぐため、私としては最短の50分パターンに再編成する必要があった。
 いつも90分以上の講演時間を要求する私にとって、これはチャレンジだった。
 結局未明までかかってしまい、出発前に睡眠時間を補充する余裕はなかった。
 いつになく死にそうな雰囲気の私を、心配したワイフが最寄の駅まで送ってくれた。
 名古屋までウトウトした。
 新幹線の車中では元気になり、講演に関係する資料を読むことができた。
 大阪に着いて、何となくホッとした気分になるのは、取材と執筆を続けている間に大阪が好きになったからだろう。地下鉄に乗り換える前に、土産物屋で阪神タイガースのユニフォームを着たキューピーのストラップを購入した。
 初めて訪れた大阪市立中央図書館は立派な建物だった。それだからこそ、間重富が江戸滞在中に書いた日記の控えを収蔵していたのだろう。嘉数さんはそこに大きな発見をしたのだ。展示されている実物を見て、私も感動した。
 「タイガースが4連敗中なので、ちょっと気分が低調で心配ですが……」で、講演を開始した。
 講演を見事に50分で終了させたら、なんと、羽間平安さん(間重富のご子孫で、遺産を継承されている方)が現れた。わざわざ聴講に来てくださったのだ。うれしかった。
 すべてが予定通りに終了して、一目散にホワイエへ直行し、拙著の販売を開始したが、さっぱりだった。図書館は本を売る場所ではないのだろう。お買い上げくださった方々、ありがとうございました。
 その後、羽間平安さんを囲んで30分以上歓談したが、全国の大学事情に詳しく、非常に勉強になった。85歳でこれだけ矍鑠としていたら、長生きしてもいいな、と思う。
 集まったアンケートをざっと読んでみたら、嘉数さんと協力しておこなった今回の講演の目的は確実に果たせたことが確認できた。大阪を見直したという意見が多数だったからだ。
 帰りにワイフからの至上命令である「ぶた饅」を購入して、無事帰宅した。

7月8日(日)「平和な1日かも・・・の風さん」
 午前3時頃にまたリビングのフローリングで目が覚め、それから少し仕事をしてから、今度はベッドに倒れこみ、午前10時半に二度目の起床をした。
 写真使用許可をお願いしていたアメリカのブルック三世から1週間ぶりに返信が来た。暴風雨に見舞われていて、すぐ返信できなかったと書いてあった。アメリカも異常気象が続いているのかもしれない。
 ま、いずれにせよ、快諾の返信だったので、ホッとひと安心である。
 ブランチにトーストを1枚食べて、公立図書館ツアーに出かけた。来週のビジネススクールの予習のためだが、今頃やっていたのでは本当は遅い。
 10年近く利用していなかったT図書館では、見つからなかった利用券の再発行はせずに、仮のもので借りた。続いて、H図書館へ行ったら、利用券が更新されたとのことで、再発行をしようとしたのだが、免許証の他に勤務証明が必要で、今日は仮のもので借りた。しかし、重要な1冊が分館にあるというので、さらに足を伸ばす必要が生じた。ナビの案内でさらに遠くへ行ったので、そこで本を借りたあと、以前行ったことのあるお菓子屋さんまで(10キロ以上離れているのだが)行くことにした。
 いちおう目的を果たして帰宅したら、例によって、ワイフも長女も出かけていなかった。本当に家にいない人たちだ。
 晩御飯は焼肉パーティだったが、屋内が焼肉屋の匂いになってしまった。
 こういうのって外でやるべきだよなあ。
 またリビングのフローリングの上でぶっ倒れたが、片目で「トイストーリー3」を鑑賞した。面白かった。が、一方で、日本製映画との違いも感じた。悪いやつは本当に悪いなあ、という印象。
 近々ディズニーシーに新しいアトラクション「トイストーリー」ができるらしい。ディズニーシーへも行きたいが、キャラクターグッズにも興味をおぼえた(また悪い癖が出てきたぞ)。
 日ごろ、日本の現状や将来を心配している私だが、たまには、こんなのんきな日もあるという証明みたいな1日だったな。

7月9日(月)「緊張漂うダイニングキッチン・・・の風さん」
 いよいよ今週ワイフのアクアが届くので、任意保険の継続手続きをした。
 帰宅してダイニングキッチン……、我が家のコミュニケーションの場だ。
 うれしい半面、財政的に苦しくなるのが明らかなので、ワイフは複雑な顔つきである。
 しばらく自宅で静養していた長女が帰ったあと、そのワイフが爆弾発言! 「リュウマチになったかもしれない」 ガーン(と内心思ったが、そ知らぬフリをするのが人間の複雑なところだ)。最近の体の症状を長女とネット検索もしながら検討した結果、リュウマチが疑われるということらしい。
 早速、明日、比較的大きな病院へ検査へ行くことになった。現在のワイフの車の最後のお勤めとなる。
 深夜、流しに潜む大型ゴキを発見! 
 仕留めた。

7月10日(火)「新刊のPRを開始・・・の風さん」
 朝から飛び込み含めて会議が4つも続いたので、それだけで疲れてしまった。
 週末のビジネススクールの準備が、またまた大ピンチのため、今夜の「飲み会」は「飲まない会」に変更した。つまり、ミッシェルで出社し、終了後すみやかにミッシェルで帰宅してビジネススクールの予習という作戦だ。
 今夜は勤務先の社長就任祝いだった。気楽な場なので、立食式に逆らって、なるべく椅子に座って体力温存をはかった。飲んだのは、ウーロン茶、ノンアルコール・ビール、コカコーラである。
 新社長への自己PRの場面があり、私の場合、新社長とは旧知の間柄であり、通常の自己紹介は不要なので、月末に出る予定の新刊の宣伝をした。
 ここでもやっておこう。
 新潮選書『江戸の天才数学者 −世界を驚かせた和算家たち−』
である。まだ表紙のサンプルもできていないが、自作して、プロジェクターで大写しにした。
「新潮選書とはすごいね」(新社長コメント)
 やはりネームバリューは相当なものだ。著者の鳴海風など問題ではなかった。
 ワイフのリュウマチの疑いは問題なしだった。

7月11日(水)「アクアが我が家へ・・・の風さん」
 ワイフの車で研修所に出社した。
 会社のPCがようやくXPからWindows7に更新される。研修所は優先なので、一斉にやるとなると、台数が多くてかなりの手間だ。そこで所員が駆り出されることになる。
 2時間手伝った。自分の書斎を模様替えして、なお資金的に余裕があったら、執筆マシンを強化したいと思った。
 少し早く退社して、アクアを受け取りに行った。
 オプション製品などは、打ち合わせ通りの位置に装着してあって満足した。
 家計的にゆとりがあれば、もっと装備を増やしたかったが、限界に近かった。
 リーマンショックから何年もたつのに、国内は相変わらず「作られた不況感」でいっぱいで、サラリーマンの収入がもどらない。これでは、消費がもどらないのもうなずける。
 小雨が降る中、家路を急いだ。
 我が家で初めてのハイブリッドである。市街地走行での加速感は十分だ。一方で、軽くブレーキを踏んでも回生ブレーキが重なるので、ぐぐっと減速する。この違和感には慣れなければならない。
 帰宅して、早速ワイフを乗せて付近を走り回ったが、ワイフはまだ実感がわかないようだった。あるいは支払い後の家計の切りつめを心配しているのだろう。
 今日も楠木誠一郎さんの新刊が届いた。『聞き耳地蔵』である。うまいタイトルを考えるよなあ。

7月12日(木)「早朝から深夜までご苦労様・・・の風さん」
 研修所に8時前に到着した。職制による交通安全立哨に参加するためだ。
 小雨の中、付近の道路に傘をさして立ち尽くした。
 全県あげて交通安全に取り組んでいるが、効果は小さい。基本的に運転マナーが悪いのだから、何でもないドライバーも事故を起こすのだ。事故なんて確率の問題。マージャンで振り込むのと一緒だろう。動力性能が増しているのだから、通常の肉体しか持ち合わせていないドライバーは、運転マナーを向上させることが最も交通安全に効果がある。
 午前中の会議では、社内でOJTがやりにくくなっていることが議論された。トップダウンの強力な対策でも打ち出されない限り現状打破は無理じゃないかと思っている。所詮大企業は滅びていくのかもしれない。だとしたら、私は日本の9割以上を占める中小企業をこれから応援したい。
 午後は有休にしているので、ミッシェルで自由ヶ丘キャンパスへ行き、図書室の本の返却と新たな借り出しをした。すぐに本山キャンパスへ移動し、疲労感ただよう中、必死に講義をし、休む暇もなく、再び研修所に戻ってきた。
 有休だが、今日は戸締り当番である。日にちを変更すると、また大変になる恐れがあるので、とにかく役割をこなしてしまうことにしたのだ。
 
7月13日(金)「幸運の女神は微笑むか?・・・の風さん」
 今日はラッキーデーに違いない。13日の金曜日で仏滅である! 確率的には(月に1日で、七曜と六曜の組み合わせを配慮すると)0.08%なので、めったにない。3年半に1日の割合だ。きっといいことがあるぞ。
 昨夜までにビジネススクールの予習はまったく終わらなかった。参考書や関連資料をかなり入手はしたものの、ほとんど読めていない。今回の科目は3日連続で、毎日事前課題レポートの提出が義務付けられている。過酷なレースであることは承知していたが、心身ともに衰えている私には、無理なものは無理だったのだろう。
 あっという間に夜になった。
 明日の初日のレポートに集中して準備しているのだが、できない。
 時間はどんどん無情に過ぎていく。

7月14日(土)「無理は続く・・・の風さん」
 午前3時過ぎにできそこないのレポートをメール添付で送った直後、限界になってダウン。再び目が覚めたのは午前7時20分だった。
 行きの電車でケースを半分読んだ。明日の朝までに提出しなければならないレポートの課題である。
 今回の講義は現代の思想家を地で行くようなO先生である。人気が高く、講義室はすぐに溢れ返った。合同講義で、東京校や大阪校からも参加している。いつもの座席をゲットすることができなかった。
 気に入っている講義ではあるが、どんなに頑張ろうと思っても、やはり疲労には勝てない(初日でエネルギー切れしてどうする?)。講義中に気が遠くなることが何度かあった。それをいつかの鬼のリーダーが高い位置の席からチェックして、「寝てましたね」とうれしそうに言うではないか。横の銀行マンも、敬老精神を忘れたかのようにうなずいていた。
 講義室で久しぶりにケータイをチェックしたら、昨日の午後、社長から着信があった。今頃気付いたのだから、当然、電話に出ていない。土曜日に電話するのはためらわれた。月曜日にしようと決めた。やはり昨日は幸運の日ではなかったようだ。電話が気になる。
 最近ランチはほとんど摂らない方針だが、特に今日のような疲労のどん底にあるときは脳への血流が著しく低下する恐れもあったのだが、半分やけくそで昼食は普通に摂った(なーんだ)。
 今夜の終了時刻は午後7時20分である。合同講義のために用意された懇親会に出るつもりはまったくなかった。さっさと帰って、明日と明後日の準備をしなければ、と思っていた。……ところが、O先生から「今夜、ケースライティングの説明会がありますよ」と教えられた。掲示板のチェックをほとんどしない私は、それを見落としていたのだ。
 結局、説明会に出席することに(このケースライティングは、一種の卒業研究みたいなもので、ある意味、授業よりも重要である)。教授陣からは志の高さを感じた。
 説明会終了後、先日、受講させていただいたN先生から「ぜひうちでやりましょう」と誘われてしまった。小説家鳴海風に対するオファーだった。二足いや三足のワラジを履いているような私は、こういうときに困る。分身の術が必要だ。
 結局、帰宅は午後10時過ぎになってしまった。
 帰りの電車で、ケースの残りの半分を読んだが、今日読んだ1回きりでレポートを書き上げねばならない。正直言って無理無茶無謀である。

7月15日(日)「滑り込みセーフ?・・・の風さん」
 昨夜は遅い晩御飯のあと、2時間だけ仮眠して、それからレポート作成に取り掛かった。ケースを読んだのは1回だけ。教科書やたくさん手に入れた参考書はほとんど中を見ていない。
 外が白みかけてきても、まだできなかった。
 家を出る時刻が近付いてきても、やはりできなかった。
 出発までに完成させてメール送信するのは無理だった。
 朝食を満足に口に入れることができなかったので、ワイフからパンをもらってカバンに放り込んだ。
 結局、行きの電車の中で、資料を読みながら、ひざの上のアプリル(モバイルPC)に入力するという背水の陣になった。
 講義室に着いても、その作業は続いた。
 講義が始まる10時の5分前に、メール送信が完了した。
 内容はともかく、いちおう滑り込みセーフだった。
 階段教室の最上階に陣取っている鬼のリーダーと銀行マンに合図を送ると、笑っている。あの余裕はどこから来るのだろう?
 昼は、ワイフからもらったパンを教室で食べて終わり。
 今朝出したレポートで失策を犯したことに気が付いた。課題の意味を取り違えていたのである。同じ科目を受けている中国人が、私と同じ間違いを犯していたので気が付いたのだ。その中国人は、「課題を読み間違えました」とグループ発表で潔く公表していたが、私の場合、自白しても誰も褒めてくれるどころか認めてもくれない。だって、日本人なのだ。おまけに文章にうるさい小説家である。私の今回のミスは、切腹に値する。
 今日は、定刻の午後7時20分に終わって、講義室を後にした。
 帰宅は昨日より早かったが、それでも午後9時を過ぎた。
 駅で同じ団地に住む中国人の女性を発見したので、ワイフの運転するアクアに乗せた。
 たどたどしい日本語を聞いているうちに、昼間のショックを思い出し、私は落ち込んだ。

7月16日(月)「乗り切れたか?・・・の風さん」
 大ピンチだった。初日から予習が間に合ってなかったのだ。3日目の予習が最も間に合ってなかったのは理の当然だろう。
 事前課題はひと言でいうと「金融偏重資本主義の世の中で、大企業、中小企業、日本国、中央銀行は何をすべきか」である。
 そーんな、分かるわけないよ(涙)。
 絶望感に浸りながら、昨夜も、まず仮眠からスタートした。
 目覚ましは午前2時で、いちおう気が付いて目は開いたが、肉体が床(ベッドではない)から離れたのは、午前4時だった。それでも疲労は十分とれておらず、薄闇の中に立ち上がった私の姿は、幽鬼のようだったろう。
 昨日の再現だった。
 開き直ってレポートに取り組んだのだが、おしまいまでたどり着けなかった。
 それでもレポートは提出しなければならない。どんな困難な状況でも何らかの成果を出す訓練がMBAの中にはある。欧米のビジネスマンがタフな理由のひとつは、そこにある。
 3日目の講義のために、今日は有休である。
 最寄の駅までワイフのアクアで送ってもらい、電車がホームに滑り込んでくる前に、社長に電話した。おー、まるでビジネスマンの行動だ(笑)。
「金曜日、研修所に電話してもいなくて、旧職場に電話してもいなくて、仕方なくケータイに電話した」と言われて、私は絶句した。やはり13日の金曜日で仏滅の日は、幸運な日ではなかった。
 用件はけっこう重い内容だった(企業秘密)。
 行きの電車で資料を読みながら、知識を追加した。
 今日も、講義が始まる直前にレポートをメールに添付して送った。 
 内容はともかく、滑り込みセーフだった。
 今日も受講はつらかった。
 ランチは近くのラーメン屋に出かけ、精をつけようとしたが、出てきたのは平凡なラーメンだった。
 講義後、打ち上げになった。今回は幹事の一人として働いた。
 午後9時過ぎまで楽しく飲んで、けっこうな出費になった。
 帰宅したらもう何もできなかった。

7月17日(火)「宛名シール印刷・・・の風さん」
 次のハードルは、今期最後の非常勤講義と次のビジネススクールの科目である。
 しかし、疲労が蓄積された心身には、それらにぶつかっていけるだけのパワーが出てこない。
 研修所では、午前中は会議で終わってしまった。
 ミッシェルに給油して帰宅したが、疲れ切っていた。
 後回しにしていた、新刊本を出版社から直接送ってもらうための宛名シール印刷に取り組んだ。
 とりあえず60人分作成して郵送の準備をした。
 それで、今日はおしまい。
 
7月18日(水)「また大ボケ・・・の風さん」
 目が覚めたら、左腕と右足がかゆい。
 何箇所か赤く膨らんでいて、ブヨかダニに食われたような感じだ。
 リビングや書斎の床でぶっ倒れているときは、こんなことはなかった。
 久しぶりに寝室のベッドで寝たら、このザマだ。
 昨夜用意した宛名シールを入れた封書を投函してから、研修所に出社した。
 今日は、私が企画している、あるイベントのスケジュール調整だけで終わってしまった。
 大ボケだったのは、ようやく決まったスケジュール(案)を役員を含む関係者にメールで送ったのだが、なんと、2名のアドレスを間違えたのである。
 社内の関係のない人に、重役がかかわるイベントの内容が送られてしまったのである。
 社外じゃないから、ま、いいじゃん、という見方もあろう。しかし、・・・ま、そういうことにしておくか(笑)。
 とはいえ、今後のために予防策が必要だと思った。
 メールのアドレス帳の登録人数が多過ぎるので、あまり利用しないメールアドレスは削除することにした。
 やってみたら、67名分が削除対象となった(いったい何人分のアドレス帳だったの?)。
 大ボケがショックで、よけい、虫に食われた左腕と右足がかゆかった。
 帰宅したら、ワイフから「湯沸かし器から水が洩れている」という報告があった。水の浪費に敏感なワイフは、かつて2階のトイレの貯水タンクの水漏れを発見しているだけに、今回のことにも自信があるようだった。明朝、業者が来て点検してくれるとのこと。
 今夜は、明日の非常勤講義の準備だけで手一杯だった。
 就寝前に、ワイフが水の元栓を閉めてしまった。

7月19日(木)「今期最後の講義が終了・・・の風さん」
 朝食のためにダイニングへ行くと、ワイフがうれしそうに「昨夜、大きなゴキが出たのよ」という。怖がる私を見たいのである。
 さっさと家を出た。
 東海地方は、例年より4日早い一昨日、梅雨明けしている。今日は暑くなりそうだった。
 旧職場に出社し、若い部下の相談にのった。こういうことはやりがいがある。基本的に勇気付けてやればよい。かつて私もどれだけ先輩から勇気をもらったことか。
 昼食に冷やしうどんを食べて退社した。今日も午後有休である。
 某駅近くの駐車場にミッシェルを停めて、電車で本山キャンパスを往復した。疲れているので、これは懸命な選択だった。
 結局、猛暑の中の非常勤講義となったが、往復の電車では仮眠できたのである。
 夕方、5時半にミッシェルまで戻ることができた。
 今度の週末はビジネススクールがあるので、10日前に借りた本の処理ができるのは今日くらいしかなかった。
 まず、T図書館に向かった。貸し出し証をなくしていたので、ついでに新品を作ってもらうつもりだった。ところが、臨時の貸し出し証の有効期限である8月8日までしっかり探してください、と指導されてしまった。貸し出しの継続はできたが、次回返却に来るときでもまだ8月8日にはなっていない。面倒なことになってしまった。
 まだ時間があったので、続いてH図書館に向かった。ここは貸し出し証の更新が必要だったのだが、住居地でないため、勤務地が近隣であることの証明が必要だった。もとも貸し出し証を持っていたのだが、その後、勤務地が変更になっていたので、今日、あらためて確認すると、「そこは協定を結んでいる地域ではないので、貸し出し証は作れません」と言われてしまった。
 そこは、とりあえずの条件で借りた2冊を返却する羽目になってしまった。借りたい本をたくさん所蔵している図書館なのだが……。
 さらに買い物までして、ようやく帰宅した。
 ワイフから、湯沸かし器の水漏れは、業者が来てパッキンを交換したことでピタリと止まったと言う。
 ちょろちょろの水漏れは気が付かないことが多い。今回もワイフのお手柄である。
 書斎に引っ込んだ私は、いつも本を送ってもらっている方たちへ、珍しくお礼状の葉書を用意し、月末ごろに新刊をお届けすることを書き加えた。
 何となく欲求不満だったので、アイスクリームを食べ、コークハイを飲んで寝た。
 
7月21日(土)「金融のギャンブルの一面・・・の風さん」
 今日からまたMBAの新しい科目が始まる。楽しくてしょうがない。期待でワクワクする。小雨模様の天気だったが、傘を持っていく気にならなかった(これが私の甘いところ)。
 年度初めの科目で株式会社というものを少し体験したが、この科目では先物取引やオプション取引をシミュレーション体験する。
 その体験の前に、こういった取引が単なるギャンブルであり、それにもかかわらず実態経済に大きな影響を与える虚業であることをしつこく聞いた。ゼロサム・ゲームであり、資本家が儲かるしくみなのだそうだ。しかし、それで世界の金融が動き、地道な努力と無関係に国レベルの貧富が生じていることを思い知れ、という強烈な講義でもある。
 金儲けに疎い私には、みじめな結末がやってくるような予感がする。
 それでも、いちおう頭脳を駆使したような気がしたので、昼食には甘いパンを選択した。コンビニまでの往復は、小雨の中を走った。
 講義後、名駅近くの某所に寄ってミッションを果たした。
 帰宅したら、新刊の見本が届いていた。
 新潮選書『江戸の天才数学者 −世界を驚かせた和算家たち−』である。
 実際の本を手にとって、感慨深かった。 
 苦労したのは事実だが、私の何倍も出版社が力を入れた。それは間違いない。
 もはや鳴海風の手から離れた、出版社の重要商品なのである。これからの私は、ただひたすら出版社のために、この本が売れるように行動しなければならない。

7月22日(日)「ちび助と同様元気なし・・・の風さん」
 昨日の雨はすっかり上がって、今日は気温も上昇しそうな気配である。
 今回の科目の先生は、元数学者である。興味を覚える以上にうれしくなってしまう。
 講義室に着いてすぐ、新刊を贈呈した。
 その後の講義はつらかった。何度かの取引シミュレーションが実施されたのだが、執念不足の私は、PCの操作で混乱し、増え続ける負債で動揺し、悲惨な順位(一度はビリ)で打ちのめされた。この結果がそのまま成績になるからなお焦る。
 今日の昼食はおにぎり2個で済ませた。
 疲労感を引きずりながら家路についた。
 今日は、名駅近くの大型家電量販店でSDメモリを購入した。アクアのナビの音楽録音用である。これがミッション。
 帰宅したら、血尿が出て病院へ連れて行かれたちび助が、元気がなかった。
 私は、血尿など出ていないが、同様に元気がなかった。
 今回の科目の宿題は、明日から毎朝、その日の日経平均株価の終値を予想して先生へメールすることだ。

7月23日(月)「日経平均株価の読みが大外れ・・・の風さん」
 今日も暑くなりそうな空模様だった。
 朝から決めたミッションがたくさんある。ミッシェルで本社へ向かい、某所へ移動。最初のミッションは複雑だったが、私にとって複雑なだけで、世の中のしくみの一つだった。最初のミッションが達成できたので、次のミッションを実施した。
 作家である私を応援してくださる方は、社内にもいる。1年ぶりに新刊が出たので、報告のために役員室を訪問したら会議でご不在だった。あとで来るだけの時間的余裕がなかったので、秘書に新刊と説明メモを預けた。
 先週の設備歴史展のパネルの一つが、元部下の業務に関係していたので、誘って会場へ行き、解説した。その間にも、周囲に新刊のPRをしたのは言うまでもない。
 研修所へ戻る途中で、残りのミッションを実行した。
 これで今日のミッションは完了、と思ったが、あとで忘れていたミッションに気付いて、また外出することになったが、こういうことが重なると、やはりボケを実感する。
 研修所の同僚に、いつものようにビジネススクールでの衝撃体験を報告した。
 そのうちに、今日の日経平均株価の終値が確定した。
 予想は30円高くなるとしたが、実際は160円も下がった。上下の読みが逆だったことはショックだった。チェックすれば、ニューヨークのダウジョーンズの前日の結果も悪かった。これを見なかった私がアホだったのだ。時間的の遅れる欧州は参考にはならないが、アメリカ市場は重要なチェックポイントだった。
 数値的には、正解に対して2.23%高く予想したことになる。
 帰宅して、夕食後、いつもの雑務で多大な時間を使ってしまったが、いよいよ予想値を決めるときに、ダウジョーンズの動向を参考にした。
 しかし、時間的にまだ開いたばかりである。一度下がった値が、じりじりと上昇を始めたところだった。
 とりあえず、30円安で報告しておき、明朝、ダウジョーンズの結果を見て微調整することにした。

7月24日(火)「日経平均株価予想でしびれた・・・の風さん」
 夏らしい青空が広がっていた。少し早めに家を出た。
 有料道路をおりたところで、コンビニの駐車場にミッシェルをとめて、ケータイで電話。
 来月仙台で開催される全国和算研究大会へ行くための夜行バスチケットを予約するためだった。
 受付が8時からなので、急がないとお得なチケットがなくなってしまう。
 首尾よくゲットできた。名古屋−仙台で9000円。
 天気がいいのに、道路は渋滞していた。変だ。
 今日の日経平均株価の予測はしびれた。
 今朝、家を出る前にワイフに予想を説明したら、珍しくコメントが出た。自分も思っていた通りだったので、昨夜送った数値を微調整したくなった。しかし、もはや時間的な余裕がなかったので、断念した。
 その微調整しようとした数値とぴったりで終わったのだ(ただし、小数点以下は外れ)。1円未満はニアピン賞である。
 くやしがっても、もうどうしようもない。これがギャンブルというものだ。
 もうすぐ新刊が発売される。出版社から直接送られる人たちの中で、拡販の協力をしてくれそうな人たちへお願いメールを送った。

7月25日(水)「ギャンブルにはまりつつある風さんの巻」
 今回のビジネススクールの科目は、日経平均株価予想だけしていればよいというわけではない。
 先物取引やオプション取引について、しっかり勉強しなければいけないのだ。
 しかし、こんなこと、初めての風さんにとっては、理解するのがとても大変だ。まず業界用語がわからない。ひとつひとつ、単語の定義を理解しながらテキストや資料を読み進めて行くのだが、なかなかペースが上がらない。
 そんなこんなで、やはり、いつものように寝不足になり、会社ではちょっと油断するとすぐ気が遠くなる(笑)。
 午後の勉強会で、講師の話を聞いているうちに、気を失った。
 今日の日経平均株価予想は、かなり真剣に考えたが、昨日ほどの的中度ではなかった。
 しかし、だんだん面白くなってきた(ああ、これがギャンブルに弱い人間の習性だろう)。

7月26日(木)「雑務だけでぐったり・・・の風さん」
 2日前と同様、出勤時、有料道路を降りて最初のコンビニでミッシェルをとめ、来月の仙台の復路の夜行バスチケットを予約した。
 こっちは8000円と往路よりも1000円安かった。
 会社に断って、病院に寄って薬をもらったのだが、既に会社を定年退職した先輩とバッタリ。話がはずんで、帰りが遅くなった。
 今日の日経平均株価予想は、昨日よりも良かった。だんだんコツが分かってきた気がする。
 超多忙のため、会社の回覧雑誌を落ち着いて読むことはないが、久しぶりに執念で気になる記事を読んだ。ネオジム磁石を発明した佐川眞人さんと、元医師で病院専門のコンサルタントをしている「英洙さんである。どちらも信念の人という印象だった。
 会議に出た後、昨日までの有料道路利用の補助金申請をした。
 ここまでで、すっかり疲れてしまった。こんなんじゃ、もう長いことないな。

7月27日(金)「週末に到達・・・の風さん」
 昼前に研修所から旧職場へ移動した。
 カロリーメイトじゃない普通の昼食後、会議に出席した。
 夕方、伏見キャンパスへ電車で出かけた。
 ケースライティングの相談をするためである。
 1時間ほどの面談をして退室したが、先生は帰宅すると、私の新刊が届いていることに気付くはずである。
 そうである。いよいよ今日あたりから、全国の書店に新刊が並ぶのだ。
 初めての本格的ノンフィクション、格式と伝統の新潮選書『江戸の天才数学者 −世界を驚かせた和算家たち−』である。
 通算9冊目。あと1冊頑張れば、定年までに二桁の本を出版したことになる。激務を30年も続けてきて、10冊出版できたとしたら、けっこう自慢できるかも。
 日経平均株価予想が終了した。今日は昨日より悪かったが、クラス内での自分の順位はどんなだろう。
 今週も、前日に徹夜しないで、大学院の講義に出席できる。うれしい。

7月28日(土)「金融は性格に合わない・・・の風さん」
 徹夜しなくても予習は必要だ。徹夜するほど追い詰められているわけではないので、徹夜しなかっただけで、結局、予習は不十分だった。
 え? どんな予習かって? 
 先物取引、オプション取引について、もっとよく知ることだ。
 そもそも専門用語がわからないので、それらを理解するだけで大変だ。分かりそうで分からないから厄介だ。どういうことか? 日本語なので何となくそのまま分かった気にさせる単語になっている。それがクセモノだ。
 原資産……金融商品のこと。
 反対売買……買った銘柄を売ること、空売りした銘柄を買い戻すこと。
 持高……相場のある金融商品に対して、買っているのか、売っているのかを表す言い方。ポジション、建玉(たてぎょく)。
 うーん、頭が混乱する。
 その上、オプション売買となると、「買う権利を売る」とか「売る権利を買う」などとわけのわからない表現が出てきて、もうアウト!
 今日は、リスクパラメータの計算をする必要があるので、昼休みに遠くの大型家電量販店まで歩いて行って、大型電卓を買ってきた。シニアグラスなしで文字盤が読めて、桁数も10桁ある。マイナスの計算もそのままできるやつだ。980円。
 講義後、懇親会(打ち上げではない)となった。
 過激な数学者の先生からずいぶんと激励されたが、どうも金融は私の性格に合わない。
 そもそも私の基本的なものの考え方は「自分が損しても他人には損させない」だからだ。
 経済学のセオリーに反している。
 私を理解している人はきっと納得するだろう。その人たちを私はこよなく愛する。

7月29日(日)「前期の講義が終了・・・の風さん」
 昨日は、先週の日経平均株価予想レースの結果が発表された。
 今回の成績に直結するので、これは重要だ。少なくとも下から1割に入ってはいけない。
 幸いそういうことはなく、下から3分の1くらいだった。
 あと、講義中の売買取引シミュレーション結果が成績に直結する。
 大儲けすれば評価されるが、大損すれば落第しかねない。
 先週は一度クラス最下位の結果を出した。
 効果はないかもしれないが、頭脳ゲームの要素があるので、昼食は甘いパンにして脳みそにエネルギーを送りこんでやる。
 しかし、今日最初の2回のシミュレーションは、最下位ではなかったものの大赤字だった。
 とうとうパソコン操作にも相場取引にも慣れないまま、今回の講義は終わってしまいそうだ。
 そして、ついに最後のシミュレーションとなった。先物でヘッジしながら、オプション取引をする。儲けのポイントはボラティリティの動きだけである(分からないでしょ? 専門的すぎて)。
 ところが、最後の最後になってシステムが不調になり、ゲームはノーカウントになってしまった。
 多くの参加者が苦戦している中、私は奇跡的に600万円以上の黒字になっていたのだが、すべてはパーになった。
 来年もこの講義はあるそうなので、再挑戦を約束して、キャンパスを後にした。
 とはいえ、まだ今回の講義には宿題とレポートがある。明日から日経平均株価予想の第二ラウンドが始まるし、およそ答えのないレポート課題があるのだ。

7月30日(月)「順調な滑り出し・・・の風さん」
 いよいよ新刊のキャンペーンに力を入れねばならない。
 初めての本格的なノンフィクション、新潮選書『江戸の天才数学者 −世界を驚かせた和算家たち−』である。
 新潮社のブランドに傷をつけたら責任問題である。せめて著者自身が全力で売りまくって、市場での苦戦の穴埋めをしなければならない(って、もう苦戦することを決めているような書き方をしているが、商売となると一気に後ろ向きになるのが私の特徴だ)。
 朝から製作所に出張し、定例の会議に出席した。会議の終わりにPRさせてもらって4冊買ってもらった。
 続いて、研修所へ戻る途中、本社に寄って、8冊販売した。
 研修所では6冊販売した。
 日経平均株価予想も、差は13.59円(全体の第二位)と、満足できるものだった。
 順調な滑り出しを感じた。

7月31日(火)「激動の1日・・・の風さん」
 猛暑の中、精力的に動いた1日だった。
 午前中は会議をはさんで営業活動。昼休みに郵便局まで用事をしに行ったが、とてつもない暑さだった。ミッシェルのエアコンをつけっぱなしにしたまま用事を済ませてきた(リスキーではあるが)。
 午後の会議で、設計案件が出てきたので手を上げてしまった(笑)。ここで治具設計をして、作品を残そうといういつもの悪いクセが出たのだ。
 定時後、大学の後輩が息子さんを連れて研修所まで来てくれた。2冊渡したが、1冊はプレゼントだ。
 今夜は戸締り当番だったので、なかなか退社できなかった。
 しかし、それで良いこともあった。
 研修所で仲の良い同僚(♀)らと雑談できたからだ。定時間内に雑談するのは昔から抵抗があった。定時後ならそういった抵抗感は薄らぐので、何でも自由に話せる。
 しかし、それで本が売れるわけではない(笑)。
 やっと最終帰宅者の権利が得られて退社した。
 しかし、そのまま家へ向かうわけにはいかなかった。
 本社に寄って、鳴海風専門書店に本を補充しておく必要があったからだ。
 9時半ころだったが、残っている同僚がいて、2人に販売した(笑)。ストックもできた。
 え? 今日の日経平均株価予想はどうだったかって? 
 下がると予想したが、大きく上がって、その差は135.93円。全体でいえば、下から第二位に転落した。

 2012年8月はここ

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